降圧剤の種類・効用・副作用その3です。ARB、ACE阻害剤、利尿剤
②ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)
現在の降圧剤の中では、カルシウム拮抗薬に次いで多く使われている降圧薬です。
ARB単独で服用する場合の他、
カルシウム拮抗薬や利尿薬と併用するケースもあります。
(私の場合もこのケースです。)
▼メカニズム
アンジオテンシンⅡは、血管にある受容体と結びついて血管を収縮させ、
血圧を上げる働きをするタンパク質のことです。
ARBは、このアンジオテンシンⅡの生成を抑える作用があります。
具体的には、血圧を上げる働きをする前に先回りして
アンジオテンシンⅡに結合し、血圧上昇を防ぐ働きをします。
▼効用
特徴は、全体的に効果がゆるやかで、副作用が少ないことです。
降圧効果がカルシウム拮抗薬のように、即効的な効果は劣りますが、
最終的な降圧効果がカルシウム拮抗薬に劣るわけではありません。
腎臓の保護効果が強く、 糖尿病の患者さんには、ACE阻害薬と並んで、
第一選択の降圧剤として使われます。
▼副作用
ARBは 、 妊娠する可能性のある女性や妊娠中や授乳中の女性、
重度の腎障害があり、血液中のカリウム濃度の高い方には使用できません。
また、腎臓と肝臓で代謝・排泄されるので、
重症肝障害や腎障害の場合には注意が必要です。
③ACE阻害剤
医学的な違いは別として一般的には
メカニズム・効用は、ほぼARBと同じと考えればいいと思います。
副作用もAREとよく似ていますが
さらに「空咳」発疹、かゆみ、味覚障害などが加わりです。
特に「空咳」は、ACE阻害薬の特徴的な副作用です。
④利尿剤
▼メカニズム
血液中の水分が増えると血管の中を流れる血液量が多くなり、
血液を送り出すのに強い力が必要となります。
そこで血液をスムーズに流そうと心臓が頑張って血圧を高めてしまいます。
このように血液量が高血圧の原因になっているのです。
そこで利尿薬は、腎臓に働きかけてナトリウムを排泄するように促します。
すると尿の量が増えるので血液中の水分が減少し
総血液量も減少して血圧が下がるという仕組みです。
▼効用
利尿剤とは、尿の量を増やし
ナトリウム(塩分)や水分を強制的に排出して、
血液量を減らすことで血圧を下げる薬です。
▼副作用
利尿剤はいくつかのタイプがあり、作用や副作用が違いますが
共通している副作用は、カリウムの強制排出による低カリウム血症です。